サンディエゴきゅうきゅう日記

2019年4月からカリフォルニアのサンディエゴの会社に転職した30代男性(+妻と子ども)のブログです。 「日本企業からの駐在」の方は特に気にしなくてもよい落とし穴を色々体験していますので、同じような方のお役に立てれば幸いです。

節税いろいろ

自分で天引き額を決められる

前回の記事で「アメリカでは自分で給料の控除分を計算して会社に提出しないといけない」と書きましたが、その他にも色々日本とは違う制度があります。面白いと思ったのはFlexible Speding Account(FSA)という制度で、一定の目的(医療費や子供、高齢者のケア)のために自分であらかじめ天引き額を決めておくことができます。

FSAにはいくつか種類があり、たとえばFSA for Child and Dependent careという制度では子供や病気ケガなどで就労できない家族の保育料、デイケア費に充てる費用をあらかじめ天引きするように自分で指定しておくことができます。

具体例としては

  • 子供のプリスクール費に充てる費用を年間2600ドル天引きするように自分で指定する
    (指定できる上限額は、その年・政策によって変わる)
  • 年間給料は26回支払われるので、2600ドル ÷ 26回 = 100ドルが毎回の給料から天引きされる
  • 天引きされた給料2600ドルは課税対象にならない == 課税対象給与額を減らせる
    >>> これがこの制度を利用する目的・メリット
  • プリスクール費を払う際に、この天引きされた費用から直接プリスクールに払ってもらう
    or 自分でプリスクール費を払ってあとから請求できる
  • 使い切らなかった費用は没収される。もし、その年2000ドルしか使わなかったら残りの600ドルは没収されてしまう。

2019年のChild and Dependent careの拠出上限額は$5,000ですが、年間$5,000課税所得を減らせるのは大きいですね(日本では今年から幼児教育無料?何の話です?)

ただ、問題としてはこの制度は「子供や病人のケア費に税制上の優遇を認めることで夫婦両方に外に働きに出やすいようにする」のが目的ですので、夫婦どちらかが働いていないとこの制度を活用することができません。

厳密に言うと「FSAに拠出することはできるけど、夫婦どちらかの収入が低い方の年収以上の額を請求できない」という制限があります。 具体的には、もし夫婦どちらかが働いていない(収入$0)の場合、$5,000拠出していても請求できる額の上限は$0(=請求できない)なので$5,000まるまる没収されてしまいます。USで共働きしていないと活用できない制度ですね。

駐在員の方なら色々手当が出て配偶者の方が働かなくても済むかもしれませんが、私の場合、USの社員で手当・補助など一切ないので妻にも働いてもらわないと苦しくなってくると思います。優雅な駐在員妻をさせてあげられなくて申し訳ない。。。

 

アメリカあるある: 担当者が平気で嘘をつく

当初、この制度を調べている時にネット上では「夫婦両方が働いていなくても使える 」「使えない」という情報が両方あってよくわかりませんでした。会社の福利厚生の運営会社に「うちは妻が働いていない(労働許可を取るまで働けない)けど、この制度使えるの?」と問い合わせたら「使えるよ」との返答でした。なんか怪しいなあ、と思ってさらに調べてみると、上に書いたように「拠出はできるけど請求はできない」ということが分かりました。あぶなかったー。

 

これに限った話ではなく、USでは「役所や会社の担当者がちゃんと確認しないで適当に回答する」というのがざらですので、常にダブルチェックする、IRS(国税庁)などオフィシャルのドキュメントで確認する、という癖をつけた方が良いと思います。 

 

医療費控除額も自分で決定

FSAでは医療費をあらかじめ天引きしておくこともできます。これは制度としては日本の医療費控除と同じです。とは言え、その中身は日本とは↓のように違います。

  • 日本では年間10万を超えた医療費分が、課税対象所得から控除できる。(実際に超えた分を後から控除申請する)
  • USでは、上限額(2019年は$2,700)までいくら医療費控除するかをあらかじめ申請できる。

こちらはChild and Dependent Careとは違って、控除(拠出)額を使いきらなくても次の年に持ち越すことができます。保育料などと違って、持病で定期的に通院しているなどの事情がない限り、その年いくら医療費を使うかをあらかじめ予測するのは難しいですからね。

いくら持ち越せるのか、何年持ち越せるのかは会社によって違うそうです。私の会社の場合は最大$500まで、1年間だけ持ち越すことができます。

 

節税ひとつとっても、自分のライフスタイルに応じて自己責任で決めて、というのがアメリカらしいなあ、と思います。