海外移住と企業型確定拠出年金
海外移住すると確定拠出年金には入れない?
この記事も日本企業から海外赴任する方は通常気にしなくても良い内容です^_^
会社員の方の場合、厚生年金に加えて会社が確定拠出年金(企業型DC)を提供してくれているケースがあると思います。
企業型DCはものすごいざっくり言うと、
- 会社が年金の掛け金を拠出してくれる
- 会社員の自己責任で掛け金を運用する(元本保証で定期預金にする、ハイリスクハイリターンの金融商品を買うなど自己責任で決める)。自分の運用次第で将来の年金額が増えることも減ることもある。
- 60歳までは掛け金/年金を受け取れない(例外あり)
という制度です。
通常、日本国内で転職して転職先の会社も企業型DCを提供している場合は、転職先の会社が引き続き年金の掛け金を拠出してくれます。
いっぽう転職先の会社が企業型DCを提供していない場合や、会社をやめたあと自営業になる場合などはどうでしょうか。その場合は『個人型』確定拠出年金のiDeCo(イデコ)に加入して、そちらに今まで企業型DCで運用してきた資産を移管することができます。その後、個人型では文字通り個人で(自分で)掛け金を拠出して年金のための資産運用をすることができます。
話はそれますけど、そもそも資産運用なんて自分で好きなようにできるのに「将来の年金にする」「60歳まで引き出せない」とかの制約がある資産運用の制度を使うのは、その方が色々な税制優遇が受けられるからですね。
たとえば、企業型DCの場合は会社が従業員の将来の年金を払ってくれてるので実質給与みたいなものです。ですがその掛け金は給与所得とは扱われず、所得税・住民税・社会保険料などの計算の際には含まれません。また掛け金の運用益も非課税です(一般の金融商品の場合、運用益の20%程度の税金が取られる)。
国としても、国民年金の制度だけで全ての人の安定した老後資金をまかなうのは無理なので、こういった私的年金の制度を作って税制優遇をすることで、国民一人一人や私企業にも老後の準備をするようにうながしているわけです。
で、話を戻しますと、私はUSの会社に就職するので当然そこには日本の制度の企業型DCはありません(確定拠出年金はもともとUSから来た制度ですけど)。 そのため、日本の職場で積み立てた資産を転職先の企業型DCに移管、ということはできません。 それじゃあ、海外にいる間は今まで積みたててきた資産をイデコ、個人型確定拠出年金に移管して運用すればいいじゃない、思います。
ところが、ネット検索すると「海外居住者は個人型確定拠出年金に加入できない」という説明をあちこちで見かけます。この点について、みずほDCのコールセンターにて確認してみました。そちらによると、
- 海外居住者でも個人型確定拠出年金に資産を移管できる。
- ただし新たに掛け金を拠出することはできず、既に拠出されている掛け金の運用指図をすることしかできない(どういった金融商品に投資するかを決めたり、変えたりする)
ということだそうです。
個人型への移管手続きを忘れると
企業型DCで積み立てた掛け金を特に運用する気がない人は個人型への移管手続きなどしないで放っておけばよい?と思うかもしれません。
ですが、退職したあと個人的への移管手続きをしないで半年経ってしまうと国民年金基金連合会という管理団体に資産が自動移管されてしまい、下記リンクのようなデメリットが発生するそうです。
www.jis-t.kojingata-portal.com
特に運用指示をする気がない人でも忘れずにいずれかの金融機関に資産を移管しておいた方が良いですね。
個人型への資産移管手続きは企業型DCを脱退したあと(会社をやめたあと)に出来るようになります。私の場合は、有休消化中でまだ日本の会社に籍がある間に渡米してしまうので手続き書類だけあらかじめ書いておいて家族に郵送してもらう必要があります。
、、、色々と書きましたが、日本企業から海外赴任する方は普通は赴任中も日本の会社に籍があって企業型DCに加入し続けられるので、そもそもこんなことを気にする必要も無いんですけどね。つくづく真っ当な日本企業に勤めている方がうらやま(略
ちなみに冒頭で企業型DCは「60歳までは掛け金/年金を受け取れない(例外あり)」と書きましたが、最初に企業型DCに加入する時点であれば前払いを選択することができます。前払いを選択すると会社からの拠出金を毎月受け取ることになります。ただし、この場合は会社からの拠出金が給料として扱われるので、所得税・住民税・社会保険料が増えてしまい、将来年金として受け取る場合にはよりも手取りは減ってしまいます。それでも海外から日本に駐在で来ている外国人は前払いで受け取るケースが多いようですね(将来年金を受け取る年齢まで日本にいる予定がないので)。